ごあいさつといきさつ

こんにちは、こぐれです。中年と熟年のあいだにいる日本人の物書きですが、いろいろあって今はニューヨーク在住のジェリーさんと暮らしています。私たちの共通の趣味は、ウクレレです。

ジェリーさんは、弾くことよりもむしろ、ウクレレ自体に興味があります。ヴィンテージと言われたりする古いウクレレを、お手頃価格で買い付けては手入れをするのが楽しみです。それらを取ってはおかず、インターネットオークションや中古楽器市場で売ることにしています。そうすることで、ほかのウクレレファンとの交流も生まれ、趣味として楽しく充実しているようです。

私のほうはといえば、趣味でウクレレを弾いてはきたものの、近年まで、ヴィンテージなんてお金のかかりそうなものにはなるべく目を向けない、という姿勢でいました。でもいま、わが家に来ては売られていくウクレレたちを見ていると、なんとも興味深いのです。こんなのが、アメリカの一般家庭の地下室や納戸なんかに眠ってるんだ! という驚きがあります。

有名な一流楽器メーカーの、百年近く前の製品……。寄せては返す波のように、ときおり盛り上がっては消えていくウクレレブームにのって、生まれては消えていったブランドの数々……。戦後、その技術力が評価され、安価な教育用楽器として流通していた日本製ウクレレ……。

それに、ウクレレといえばハワイ生まれの楽器ですが、アメリカのハワイ併合以降の観光地としてのプロモーション、ハワイ音楽ブーム到来、消化と新時代、などの政治と文化の歴史もウクレレから感じることができたりします。

日本の古い製品の行間には日本の歴史が刻まれているように、アメリカのヴィンテージウクレレの行間にはアメリカの、そしてハワイや日本やヨーロッパの歴史までもが、刻まれているのだと知りました。


うちから売られて去っていく個性豊かなウクレレが、このウェブサイトには残るように。

そんな中、日本に帰国して東京の楽器店をのぞくと、しばしば、ニューヨークで見聞きしてきたウクレレやそれに近いものが、さらに手入れの行き届いた美しい状態で、展示販売されていることに気付かされます。
知識と技術のあるプロの方々が、日本でそういったウクレレを入手、調査し、整理分類して、値段をつけているということは、ずっと前から、アメリカのヴィンテージウクレレの価値は、日本できっちり認められていたんだなと――私はそんなことにも気を配らず、実にポーーーッとウクレレをひいていたんだなと――実感します。

そこで、私は私なりに、うちに来たウクレレの記録を残すことにしました。
ジェリーさんの書いた販売用の解説を自分の言葉で意訳することを基本とします。写真も、ジェリーさんのものをそのままいただきます。そこへ、ヴィンテージウクレレに詳しいわけではない日本人という私自身に向けて、さらに解説を加えたいと思っています。さらに、弾き手としての正直な感想も書いておきたいです。

販売中のウクレレには、ネット通販ページへのリンクも貼ります。米国在住の方や、日本在住でも米国からの通販に抵抗がない方は、よろしければぜひ……とおススメしたいところなのですが、日本への送料は正直、高いので、表示をよくお確かめの上、ゆっくりご検討ください。たいてい、そんなにすぐには売れないので、時間をかけてもきっとだいじょうぶですよ。

「なら、日本に帰ってくるときに持ってきてくれよ」と思われるかもなんですが、自分の荷物といっしょに運搬し航空機内に持ち込み、といった一切のプロセスで品物の安全に責任を持つことができないので、個人での運搬はお引き受けしません。どうぞよろしくお願いいたします。

うちから売られて去っていく個性豊かなウクレレが、このウェブサイトには残るように。もし珍しいものがあれば、だれかにおもしろがってもらえるように。家にあるウクレレのやまは、だんだん低くなってくれないと困るけれど、このウェブサイトのウクレレのやまは、積み重なって、うず高くなっていけばいい――そんなふうに思っています。

弦高確認用

Jerry’s Uke Depot

このウェブサイト上のウクレレはすべて、ジェリーさんちに積んである、または、あったものです。実際に販売され、売れてしまったものもあれば、まだ売れていないものもあります。いま米国内向けの売り場にあるものは、下のリンクから一覧できます。