
はじまり
そろそろ年齢を感じていた男性ストリッパーのマイクは、出会った無軌道な若者の才能を見抜き、彼を新生ストリッパーチームに加えると、ナンパとパーティーと名声への欲望がドライブするめくるめく旅へと導いていく。
ミタメモ
Netflixのアニメ映画『K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ』の応援上映(いっしょに歌えるタイプの上映)イベントが全米、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドへと展開すると聞いて、「ついにアニメ応援上映の文化が世界へ……!」と感激して、この映画のことを思い出したので書きます。もしかしたら2度目かもしれない。けど書きます。
2016年、キンプリ(King of Prism)の応援上映が日本全国で話題になった。劇場でアニメ映画をみながら声援したりいっしょに歌ったり、声出しすることが推奨されるという特別上映は、大ウケし拡がっていく。同じころ『マッドマックス・怒りのデスロード』の爆音上映とかも流行ったし、おとなしーく音を立てずに映画をみるのが上手な日本の観衆の慣習を逆手にとったようなイベント系上映が流行し、ふだんのお行儀のよさから敢えて離脱して共犯関係を楽しむような、複雑な日本文化楽しいなと思っていたら、新型コロナの流行がやって来て、映画館どころかふつうのポップスのコンサートですら声が出せないという異常事態になってしまった。
そんなコロナ禍のさなか、私は大学院で映画研究コースを取っていて、毎日、部屋でパソコンの画面を通して講義を受けていた。そこである日、ゲストスピーカーが持ってきた題材が、この『Magic Mike』。この映画、あっけらかんとセクシーダンスをおどりまくる主人公たち男性ストリッパーチームそれぞれのカッコよさと、彼らのツアーで増えていく女性ファンのこれまたあっけらかんとした大喜びっぷりがとても楽しい、前向きな気分になれるコメディドラマ。大作映画というわけではないけれど、公開当時カルト的人気を獲得し、地方公開館がどんどん増えていったという。
その挙句、何がアメリカ各地の地方映画館で起こったかというと、現実のファン(おもに女性)たちが連れだって映画館へ参戦し、喜びの声をあげながら観賞するというイベントが発生したそうです。男性中心になりがちな映画のファンドムの中で、これは女性中心の動き。作中でとても肯定的に扱われている女性のストリップファンたちと一体となり、銀幕のセクシーな男性たちに歓声を上げる女性ファンの活動は、映画史の中でも特筆すべきものだったと、その日のゲストスピーカーの先生は言っていた(たぶん)。
それって応援上映じゃん! と、ZOOM画面で授業を受けながら身もだえして感激したのは私です。応援上映、キンプリから生まれたのかと思っていたら、2012年の米国ですでに自然発生していたのか。オタクの魂はグローバル、推したい気持ちは世界共通!
でもそう考えてみたら、公開初日真夜中には各地の大型上映館に集い、今だけOKとばかりに大歓声をあげて観賞することを、数年に1度しか起こらないことなのにしっかり習慣化し、それを世界に拡げたスター・ウォーズシリーズのファンたちもやはり、応援上映のre始祖として映画史に名を残していいと思う。
さわいでみるのが習慣化といえばロッキー・ホラー・ショー(1975)もそうか。WikiPediaの応援上映の項目にはアナ雪のいっしょに歌える上映やインド映画のマサラ上映なども触れられていて、イベント上映の歴史は長く広いのですね。
どんな文化も、ハイカルチャーもオタク文化も、一か所で突然に発生するのではなく歴史、下地、理由があるのだなあとしみじみするのです。
スティーヴン・ソダーバーグ監督作品です。
どんだけ
1時間50分
どうみた
たぶんamazon prime
ぞくへん
続編としてマジック・マイクXXL(2015)、マジック・マイク ラストダンス(2023)がある
『マジック・マイクXXL』応援上映、日本でもやっていたエライ