SINNERS poster

はじまり

シカゴのギャングと渡り合って大金をつかんだ双子の兄弟スモークとスタックは、ミシシッピのある町外れに黒人コミュニティのための音楽酒場を開く。繁盛するフロアには、夜通しのダンスと音楽の魔力に引き寄せらるように、いつしか血に飢えた人外のものが忍び込む……。

ミタメモ

突然ですが、欧米の映画人には白人のみなさんが多いわけです。自然と、欧米で有名なホラー映画の多くは白人が中心となってつくった作品となり、その内容に反映されている恐怖は、「素晴らしい欧米白人社会に、未開の文化圏から野蛮な有色人種が侵入してくる」という差別感情からくる不安に根ざしていたりするという説はいろいろな研究者から昔から言われがちなこと。

とはいえ、だから欧米のホラー映画はダメとかではない。その当事者ではない、たとえば日本人の我々だって、その相似形の社会不安は常に持っていて、それを投影してその恐怖を理解でき、感情移入すらできる。だから、あっちの世界の名作ホラー映画は、こっちの世界でもやっぱり名作とされることが多い。差別から来る恐怖はだれにでもある。それが作品として表出することは問題ではなく、大切なことは、物語の中でその恐怖とどう対決するかです。

そして今年(2025年)、マーベルヒーロー映画『ブラックパンサー』などですでにメジャーな黒人映画作家ライアン・クーグラーが新作を、そんな米国ホラー映画界に投入。主役をふくめメインキャラクターはみな黒人。まだ黒人が公に差別されていた1930年代の米国南部を舞台に、上記のような作品群とはまったく逆の立場からの、恐怖の物語が語られる……。

興奮です。

そんな作品背景はともかくとしても、ふつうにホラー映画としてたっぷり楽しめるのでモンスターとかゾンビとか、もちろん吸血鬼も、好きならオススメ。とちゅう、いろいろ盛り込みすぎてちょっとわけわかんなくなってきたな……と感じる時もあったけれど、最後までみるとスッキリと筋が通り充実感がある。同監督の最近作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』と似てる感覚だなあと思いました。

黒人作品だからいい、ってわけじゃない。だけどやっぱり欧米の白人作品が目立つから、そのほかの人がその立場から作ったホラー映画がもっとバンバン出るといいと思っています。日本発のホラーだってどんどん世界に出回るべき。すでに『リング』とかもう、いちおう米国在住の私の身の回りの体感では、ポップカルチャー好きの人には常識だし、大林宣彦監督の『ハウス』も若者の映画ファンの間で流行ってるみたいだし、ホラー系のアニメシリーズなら最近作がもっといろいろ拡がってるとおもうし、このままどんどんお願いします!

なぜみた

公開直後すぐに、The New Yorkerなどで高評価が広まったから。

どうみた

New York Regal Union Square (日本2025年6月公開予定)

どんだけ

137分

リンク

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作品WikiPedia英語

日本語Wired記事

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