はじまり

若き善良な科学者である息子が自動車事故で死亡。父である脳外科医はその脳を、巨大な人形に移植した。こうして生まれた怪人は、何を求めてニューヨークの街を彷徨うのか。その兄は、妻は、息子は、そして父はどうするーー。

ミタメモ

またしても「かわいそうなモンスター」の登場。行き過ぎた、目的を誤った科学が生んだ悲劇!!

1950年代後半、米国の映画産業は、そんなモンスター映画を多産しました。それには第二次大戦で自らの国が日本に落とした原子爆弾、その後に進行する冷戦下の核開発、核エネルギーの実用、その反対運動、といった現実世界が、戦場に赴かずにすんだ一般市民へさえも、長期にわたる心理的な恐怖体験を強いたことが反映されています。

原子力モンスターものの初期大ヒット『原子怪獣現る』(1953)のユージン・ルーリー監督作品ということで、この2本をくらべるだけでも、
「科学の力って、強くて恐ろしいところもあるけど、オレらも強くしてくれてめちゃクールかもしんないぞ(トキメキ)」という子供のような感覚から、「科学の力って、不可能を可能にしてくれるけど、もしかしてオレら人類の手には負えないかもしんないぞ(蒼白)」という、より洗練された思索へと進化している様子がつかめます。

その2本のあいだはたった5年なのですが、他作品もふくめて米国モンスター映画をめぐる集団心理は、爆速で変化しオトナになっていきます。映画を作る側も、彼らが意識する観客である市民も、社会状況にもまれて成長していったのでしょう。

とはいえ、深刻なぶん、かわいそうすぎて面白くなっちゃう瞬間も多い作品ではありました。

そういった面白さの面でも、だいたいカッコいいフリしてる『原子怪獣現る』から数段、モンスター映画として進化している……開き直って振り切れててイイ……と思うのは好みの問題かもしれないけれど。ハリーハウゼン作の原子怪獣のほうが、怪人より100倍カッコいいので、そういう意味では洗練とは逆の方向に行ってる気もけれど。

人気子役のチャールズ・ハーバートや、ホラー映画黎明期の歴史的作品『オペラ座の怪人』(1925)から怪人を演じているエド・ウルフが出演していて、そうは見えないけれど、実はスター共演の豪華映画なのだった。

なぜみた

Facebookの某グループでオススメされたから。

どんだけ

1時間10分

どうみた

YouTube (英語)

英語が聞き取りにくいなと思うところもありましたが、「最初に出てくる若い科学者2人は兄弟で、エラそうなおじさんはその2人のお父さんで脳外科医」ってところがわかっていればあとはだいたいでOKな気もします。

リンク

作品Filmarks日本語

作品WikiPedia英語

ImDB